2010年11月21日

「成功術 時間の戦略」

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「成功術 時間の戦略」 鎌田浩毅

評価:4.6


この本は読書項でも紹介したが、ぼくが大学生になって初めて読んだ本でその後の大学生活に強く影響を与えてくれた本

また本を読むきっかけにもなった本だといえる本書を3年ぶりに読んでみたが、なるほど昔の自分が感銘を覚えたとおりとてもいい本だった


成功術 時間の戦略 (文春新書 (443))成功術 時間の戦略 (文春新書 (443))
鎌田 浩毅

文藝春秋 2005-05-20
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目次
はじめに


第1章 時間管理の戦略ー活きた時間、死んだ時間
生きた時間とは何か? ニュートン時間とベルクソン時間 まずは死んだ時間をみつけよう 時間管理は体で覚える 生きた時間はプロセスの中にある 頭は一日に一時間しか動かない 頭は一〇〇パーセント使うな 学びの本質 自己実現の時間戦略


第2章 人に負けない”武器”をもつ方法ースペシャリストになるための助走
武器を磨く 「好きなこと」より「よくできること」 ノーボディからサムボディになる 仕事にほけんをかけておく 戦略と戦術 武器としての英語力 二十代には留学するな オンリーワンへの道 十年プラス五年プラス五年計画 今からでも遅くはない


第3章 人間関係の戦略ー貴人が人生を拓く
人間関系にも戦略がある 身近な他人に助言を求めよ やりたい仕事より与えられた仕事 主流に属せ 師の日常までを徹底して学ぶ とことん学ぶ ギブ・アンド・ギブから始める ウィン・ウィンの関係 二対七対一の法則


第4章 フレームワーク利用術ー世界観の違いを乗り越えるために
心理学の認知論 受け手を守護にして考える デカルトの気づき DFTという対話システム 橋渡しのためにどうすればよいか 理系と文系というギャップ


第5章 戦略的な読書家になるー読書の楽しみと効用
むずかしい本は書いて人が悪い 本を読破しても偉くない 読書の棚上げ法 活字に親しむのに遅すぎるということはない 本には構造がある 本は考えるための文房具 本が呼ぶ 本に読まれるな 必要な本はそんなに多くない 読みすぎは禁物 読書は自分を変える


第6章 効率的に教養を身につけるーエグゼクティブはジェネラリスト
教養とビジネス 教養エグゼクティブ 効率的な教養の身につけ方 自分の音楽ライブラリーを持つ 楽器を演奏するという財産 教養としての美術 経験が鑑賞眼を養う ファッションと骨董 ホモールーデンスの戦略


第7章 無意識活用法ー意識化にある膨大な能力の活用
人生を決める無意識 無意識の呼び出し方 ひらめきは突然やってくる インプットが大事 ロールモデルを見つける


第8章 クリエイティブになる方法ーまず常識を疑う
隙間を探す 直感によって大局を掴む 当たり前を疑う デカルトの方法 無意識に委ねる クリエイティブに生きる


第9章 「オフ」の戦略ー豊かな人生を作り出すために 
活きたオフ 三種類のオフ 緩急自在な頭を作る 以下にしてぼーっとするか 行方不明となるオフ コウスティングを日常に取り入れる 瞑想とは何か 瞑想的に生きる オフの効用


おわりに




本書は京都大で地質学を教えている教授が書かれていて、内容は若干アカデミックであるが、書いてあることはとても刺激的だ

本書でいう成功とはなにか

長い間人生の成功とは何かについて模索してきた。その結果、三つの視点、すなわち仕事、人づきあい、趣味が満たされたときに成功と言えるのではないか、と考えるに至った。
この三者がバランスよく発展していく生活が、幸福な人生と言っても良い。

そして副題にもあるように、「時間」がキーワードになっている


この本の本質を一言でいえば、「死んだ時間を減らし、活きた時間を増やせ」ということになるだろう
とりわけ1章にそのエッセンスのほとんどが集約されているので、ここでは1章を重点的に取り上げてみたい

人生で大切なことは、活きた時間をどれだけ持つか、ということに尽きる。

この言葉にぼくは3年前に感銘を受け、今でも大賛成だ
人がどのような人生を歩むかは時間の使い方に尽きると思う
時間の使い方は人それぞれあっていいと思うがそれが「活きた時間」であることが重要だ

それでは「活きた時間」とはどういう時間なのか

活きた時間のキーワードは、「未来」と「創造」である。現在過ごしている時間が、未来の創造へ向けて活かされているような時間が、活きた時間なのだ。
(略)
活きた時間とは、時の流れをはっきりと自覚できるような時間である。今まさに人生を作りつつある時間といってもよい。

クリエイティブな時間というだけでなく、その一つ一つが自分の人生となっているような時間のことを活きた時間と読んでいる。
必ずしも仕事や勉強だけでなく、部活の試合、小説を夢中で読む時間、恋人との時間。そうしたすべてが活きた時間なのだ。
戦略を立てる時間も活きた時間に入る。

ぼくの中で、活きた時間だと思えた瞬間は授業で今まで考えたこともないようなことを教えられたとき。集中して勉強していた時間。高校のサッカーの試合。屋久島で星空を見たとき。とあげればきりがない
他の人は知らないが、ぼくにとってはスラムダンクを読んでいたり、けいおん!をみていた時間はまさに活きた時間だ

それとは逆に死んだ時間というものもある

自分を見失い流されてしまった時間は、死んだ時間である。
(略)
「死んだ時間」とは、たとえば、惰性でだらだらと過ごしてしまう時間である。
(略)
死んだ時間はいくら積み重ねてもなんの役にも立たない

一度自分の生活を振り返ると意外と自分が死んだ時間を過ごしてしまっていることに気づくはずだ

ぼくの場合、意味もなくmixiやネットのニュースなどをみてしまう時間などがそれに当たる
トータルで考えれば相当な量だ
大学生であればくだらない授業をとっている時間もそれに当たるだろう

なぜオレはあんなムダな時間を……

というような時間(しかも2年間も!)がまさに死んだ時間と言えるだろう



そのもとで次のように主張する

まず時間の浪費を知れ
(略)
そのためには、まず死んだ時間を見つけることから始めてみよう

時間がないのではなく時間を浪費しているだけというのはよく聞く言葉だが、その基準が「活きた時間」か「死んだ時間」かという基準で判断している点が興味深い


以上で説明したのがこの本のエッセンスだ

しかし、この本はこの点以外にもとてもおもしろい
本の読み方であったり、オフの過ごし方、教養の身に付け方から留学のアドバイスなどアカデミックに身をおく人だからこその指南がつまっている

また特筆すべきなのは歴史上重要な人の引用がとても多いこと
昔の人は本質を突いた文章を残していることを実感する

成功術という名前からビジネスパーソンが書いた本だと想像してしまうが、とても読みごたえのある良書だと思う

そしてこの本を高校生のときに√Kの付録として届けてくれたベネッセさん、どうもありがとう

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