2011年2月3日

「ご冗談でしょう、ファインマンさん(上・下)」

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「ご冗談でしょう、ファインマンさん(上・下)」 リチャード・P・ファインマン

評価:5.0

これぞ人生

人生を楽しみ尽くしたい人にぜひ

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目次

1 ふるさとファー・ローカウェイからMITまで
2 プリンストン時代
3 ファインマンと原爆と軍隊
4 コーネルからキャルテクへブラジルの香りを込めて
5 ある物理学者の世界


本書はカルフォルニア工科大学の物理学の教授であり、ノーベル物理学賞を受賞し世界的に有名なファインマン教授の自伝である


そのわりに物理学のぶの字もでてこないほど専門的な内容とはほど遠いファインマンのユニークな出来事を記した自伝だ

たとえば、マンハッタン計画の傍ら彼は錠前破りを相当熱心に研究し、マンハッタン計画の極秘情報の保管庫の錠前を破ってみたり、いたずらで他の人をこまらせたりと読んでいてまさに「ご冗談でしょう!」と言ってしまうほどおもしろい

彼の文才もさることながら、なぜこれほどまでに人の人生を見ていておもしろいのか

それは彼が生涯かけて「遊び尽くした」からではないだろうか

404 Blog Not Found:職がなければ遊べばいいのに - 書評 - コンピュータが仕事を奪うでもあったが、人とコンピュータで違う点は「遊べること」とあったが、まさにその人の利点を最大に享受した一人なのではないだろうか


彼にとっては物理=遊び、であり錠前破り=遊びであり、スペイン語の修得=遊びなのだ

すなわち人生のすべてが遊びであることがわかる

そんな人の人生を聞いていておもしろくないはずがない

人生を遊び尽くすというのは「好奇心」という強力なエンジンを備えている人の特権だろう


もし、あなたが「人生に遊びなんて必要ない。そんな話聞かされたってこっちはなんも楽しくなんかない」と思われる方は読まないことをおすすめします
そういった人はAmazonのレビューで星2つなどを付けるのがオチでしょう


何かに悩んだときにこの本をふと読み返してみると、すごいそんな自分にあほらしくなる

今回この本を紹介するにいたったのも、友人とのTwitterでの会話からで読み返してみると本当におもしろい




世の中にはこんなにも人生を楽しんでいる人もいるのだなぁと思うとなんとなく気がラクになる


何かのために生きているんじゃなくて楽しさそのものを追いかけている人というのはすごいうらやましくぼくもそういう人生を歩みたいなぁと感じる

ファインマンはまさにそんな人だ(ぼくの好きな成毛さんや矢作さん、小木さんなんかもこういう人だ)


この本を読んでいてふとそういえばなんで今経済を学んでいるのかと思い返してみた
経済をやるからには世の中をよくしたい!、とか世界の貧困をなくす!とか言った方がかっこいいのかもしれないが、よくよく考えたら最初の文系の授業で受けたネットワーク理論がおもしろかっただけなのだ
ものごと始めるときなんてそんなものだ
そのあとになって後付けでいろいろと今やっていることの「理由」を探すけど結局はそんなものは実はなくて、最初に「あぁこれおもしろいなぁ」と思ったのが本当だと思う

それは勉強に限らず

そんな気持ちをずっと忘れないで持ちつづけることはなかなか難しいけど、それを実際にやっていた人がファインマンであり、それゆえにここまで人を惹きつけるのだろう

かく言うファインマンもあるとき物理を研究することに理由を見つけようとして悩んだ時期があったらしい
しかしある時、「もともと物理は楽しいからやっていたんだ!これからは楽しいことだけを考えて物理をやろう」と悟ったらしく、そのときたまたま「楽しさだけで」飛んでいる皿の運動を計算して、それがノーベル賞につながったらしい

前にはあんなに物理をやるのが楽しかったというのに、今はいささか食腸気味だ。なぜ昔は楽しめたんだろう?そうだ、以前はぼくは物理で遊んだのだった。いつもやりたいと思ったことをやったまでで、それが核物理の発展のために重要であろうがなかろうが、そんなことは知ったことではなかった。ただぼくが面白く遊べるかどうかが決め手だったのだ。
(略)
というわけで、ぼくはここに至って新しい悟りみたいなものを開いた。ぼくはもう燃え尽きたローソクみたいなものだから、もう決して大した成果も挙げられないだろう。ぼくはこの大学で楽しみながら授業をする結構な地位にある。これからはそれこそ娯楽のために、「アラビアンナイト」を読む調子で期の向いたときにその価値なんぞ全然考えずに、ただ物理で遊ぶことにしよう。
(略)
するとハンスは「なかなかおもしろいじゃないか。だがそれはなんの役に立つんだね?なんのためにそんな計算をやったんだい?」と聞いた。
「なに別になんの役にも立たないよ。おもしろいからやってるだけさ。」ぼくは物理学を楽しむだけのために好きなことをやるんだと決心していたから、このときのベーテの反応はちっともきにならなかった

「なんのために生きてるの?」とか「なんのためにそんなことやってるの?」とか「なんのために働いてんの?」とか言われたときに
「特に理由なんてないよ。楽しいからだよ」と言えるような人生を歩んでいこうとぼくはこの本を閉じたときに心に決めました

みなさんはこの本を読んでどういう人生を歩んでいこうと思いますか?


追記:
ちなみにぼくは高校時代苑田さんの物理が大好きで、大学に入ったら絶対に物理学専攻に行こうと思ってました
大学の授業があまりにくだらなくてこんなところまできてしましましたが、(笑)
また楽しみのためだけに物理を大学が終わるまでに学びなおしてみようかな


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