評価:4.6
この本は成毛さんの本にも紹介されていていつか読んでみたいなぁと思っていたところ生協で見つけたので衝動買いしてしまった
これは19931年にノーベル化学賞を受賞したマリス博士の自伝的な作品なんだけれども、正直言ってぶっ飛びまくっている
小さい頃(6才くらい)に爆薬を作って遊んでいたり、LSDの使用を公言していたり、ノーベル賞受賞式には自分の元々妻と元妻とその子供たちと今のガールフレンドをつれてきたりと
正直この本を読んだら安定した生活、であったり慎ましい人生、とか考えてるのがばかばかしくなってくる
とはいっても博士には絶対になりたくないとは思うが
しかしなんといっても話がおもしろい
他人の人生の話がこんなにおもしろいものなのかと思わせるのは博士くらいではないだろうか
各セクション短いエピソードが綴られているのだが、LSDのラリ体験であったりとショートショートに出てきても全く不思議でない話がしかも実話でぽんぽん出てくるのだから恐れ入る
そして理系ながら実験嫌いのぼくが初めて実験っておもしろそうと感じた
今まで、授業ですでに与えられている結論を与えられた手続きで確かめることのどこにおもしろさを見いだせるのか不思議でしょうがなかったが、博士の実験は爆薬作りから始まっていて、こんな話を聞けば誰だって実験をしたくなるだろう
しかも最終的にはそれでロケットを作りカエルを空まで飛ばしてしまうのだからすごい
小学生で
とここまで博士のぶっ飛んだ側面の一部を紹介してきたが、ところどころには科学の考え方、在り方に関する博士の主張も鋭い
そしてこう綴ってある
PCRが野火のごとく世界中に広まっていくであろうと、私は確信していた。今回こそ私は自信満々だった。<ネイチャー>誌は一にも二にもなく掲載を決定するであろう、と。<ネイチャー>編集部の返事は「却下」だった。<ネイチャー>についで有名な科学雑誌<サイエンス>もこの発見を認めなかった。<サイエンス>はこう言ってきた。「貴殿の論文は我々の読者の要求水準に達しないので、別のもう少し審査基準の甘い雑誌に投稿されたし」と。このやろう、と私はうめいた。オレは金輪際、これらの雑誌に好意を持つことはない、と誓った。
(略)
私たちは自分の頭で考えねばならないのだ。
これは科学雑誌に限ることではない
ぼくたちはそれこそ権力だとか名誉だとかそうしたものに対して簡単に受け入れてしまう傾向にある
例えばハーバード大学のなにがし教授が言ってるから正しいとか、この教科書はどこの大学でも使用されているから間違いないとか、はたまたアメリカの社会システム・教育システムがこうだから日本もこうしないといけない、とか
残念ながらこうしたことはぼくの専攻の社会科学での方が起こりやすい、いやむしろかなりすでにはびこっているような気がする
しかしマリス博士はこうした人たちは自分の収入や名誉しか考えていないという
だから自分の頭で考えることが大切であると教えてくれた
この本を通して、一ついや多くのことを学んだ気がした
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