2010年3月18日

「日本を作った12人」

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「日本を創った12人」 堺屋太一

評価:4.2









堺屋太一が日本を「創った」歴史的人物を紹介している

前編では、聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康

後編では、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助

を取り上げている

ところで「創った」とはどういうことかというとそれは

今の日本によくもわるくも大きな影響を与えたということ

すなわち日本人の思想から政治システム、金融制度、企業文化から社会通念まで今では日本の特徴として取り上げられるものを「創った」と言う意味だ

そういう意味では後編の方がかなり直接的に関与しているためにおもしろい




それぞれ石田梅岩は倹約・勤勉をよしとする石田心学
大久保利通は強力な官僚制度、
渋沢栄一は金融制度と「財界」という日本独自のシステムを、
マッカーサーは戦後の日本の社会システム、
池田勇人は高度経済成長で成功した産業組織、
そして松下幸之助は終身雇用制度を確立した

と分析している



アメリカ型競争主義や成果主義が叫ばれる現代で日本の制度のわるい点があげられ、そうした制度は日本の国民性の問題であると叫ばれているが、
そうした制度・システムは上記の方々が「創って」制度かしその時点では大きな成功を収めたシステムだ

日本の国民性などの問題ではないしその制度自体の批判にも意味はない

そして日本の独創性が叫ばれているがその点に関してはそこまで問題ではないという


聖徳太子が作り出した同時多宗教信仰。源頼朝の二重権力構造。渋沢栄一の合本主義。松下幸之助の生み出した日本式経営。

こうしたものには画期的な独創性があり独創的という面では他国に引けをとらないほどだど主張している

それではどこに問題があるのか
それは日本は過去にとらわれすぎているという指摘だ

その意味では、日本においては「過去」が大きな存在である。今日の日本の成功も失敗も、日本の「過去」とは無縁ではない。
今、日本はまた、大変革の時代を迎えている。


よくもわるくもそうしたシステムが日本の成長に足かせになっているのは確かである


ではどうすべきか

堺屋太一は以下のようにまとめている

今、われわれが直面している大変革も、制度や組織の変革、財政数値や文章手続きの変更で終わるものではない。必要なことは、明治以来積み上げられてきた官僚文化を改め「民の文化」を築くことである

最後の言葉ですべて解決するかということにはいささか疑問が残るが、大事なことはこうした現状を適切に把握した上で、日本を創った12人を「越え」なければならないということだ


これはぼくらに課された課題である

ぼくらが日本を創った"13人目"として変革を迎えることができるのか、それとも日本は12人で終わってしまうのか。

日本の真価が試されている時である

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