2010年8月20日

Kindleが日本で「本」になる日

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「電子書籍の衝撃」を読んでみて、今後どうなるのだろうと少し考えてみた


上記の本ではiPadとKindleについて書かれていたが、僕はiPadが電子書籍として使われるようにはならないだろうと感じる



iPadを使って早3ヶ月ぐらいたつが、iPadの致命的な弱点は「目が疲れる」ということ
これは電子書籍として致命的な欠点だ

Kindleはまだ触ったことないが、pomeraのようなEinkが使われ、まさに本を読むためのデバイスであるというのは触ったことがなくてもわかる

おそらく長期で見ればKindleが電子書籍では確実にプラットフォームを握るだろう

Kindleにしてもpomeraにしても一芸に秀でたデバイスというのはどれだけ汎用デバイスが出てきても生き残ると思う
もちろんKindleにはまだまだ改善の余地があると思うが


そして「電子書籍の衝撃」では電子書籍もiTunesが起こした音楽の革命と同じように進んでいくだろうと述べていたが、書籍に関しては若干性質は異なると思う

そもそもiTunesは自分が持っているCDを聞くことが始まりでその延長線上としてITMSができたが、本の場合はそうはいかない

つまり新しく買う本が全てだということ

したがってデバイスの普及にとって決定的に重要なのはKindle自体の価値や価格というよりも「Kindleで売られる本の価格」だろう

もしKindleでも紙でもどちらでも読書体験が同じだというのならKindleで売られれている本が安いのならKindleをみな買うだろうし、そうでないなら今までのアウトサイドオプションをとるだけの話


それではKindleは日本でも爆発的に普及するのだろうか

おそらくKindleというデバイス自体の普及自体は拡大していくかもしれないが(実際amazonもハードでの利潤を狙っていない)、それが「本」になる日はまだ遠いのではないかと思う


特にここで問題になってくるのは「中古本」の存在

中古本は利益を生まないとして非難する人も多いが僕のような学生や低所得者は中古本が大半になっている

もともと中古本消費の場合、そのサーチコストが問題であったが、今では当のamazonの存在でそのコストは格段に安くなった

ましてやChrome拡張の「中古本検索」など使えばほぼゼロだろう


おそらくKindleの普及の最大のネックは中古本の存在ではないかと僕は思う
もちろんいずれにせよ出版社の利益が少なくなるというのはかわりはないが


ただし中古本は供給が多いほどつまり新品を買った人が多いほど価格は下がる

Kindleが増えればそれだけ中古価格はあがるだろうからそれがクロスしたときに電子書籍が本当の「本」の普及を越える日がくるのではないかと思う

どこかの時点で急速にKindleでの本のシェアが上がるのではないかと思う



それでも日本とアメリカで性格が異なることは間違いない
日本に比べ輸送コストやサーチコストが高いアメリカでKindleが流行っているのは当然だろう

しかも日本はハードカバーよりもむしろ文庫本や新書本が需要の大半であり、そう考えるとアメリカでのKindleの宣伝文句である9.99ドルというのはあまり安く感じない気がする

新書や文庫が500円くらいで買えるようになってはじめてKindleに価値が出る


したがってアメリカで爆発的に売れているKindleが日本で本(中古本含む)の需要を上回り本にとって変わる日というのはまだまだ時間がかかるのではないかと感じる

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