2010年7月31日

「無趣味のすすめ」

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「無趣味のすすめ」 村上龍

評価:4.6





「無趣味のすすめ」というタイトルに興味を惹かれた
かといってこの本は趣味に関して延々と書いてあるわけではない
むしろ最初の数ページだけで、残りはほとんど関係ない

しかし一般的な認識とは異なる、しかし説得力のある考えには納得せざるを得なかった

と同時にこの本を読み終えて村上龍が好きになった

すこし多いが、印象に残った言葉を紹介したい


グローバリズムは思想ではない。だから「適応する」というのがもっとも正しい接し方
(略)
グローバリズムに適応するときに最も重要なのは、言うまでもなくコミュニケーションだと思う。


子供の頃から文章を書くことは得意だったが、好きではなかった。もし自分が小説を書くことが好きだったらどうなっていただろう、と考えることがある。もし好きだったら、たぶん日常的な行為になっていただろう。
(略)
執筆が日常的行為と化すこと、書くことそのものに満足すること、いずれも予定調和に向かう要因となる。私にとっては忌避すべきことだ。


天才というか、構成に名前をと影響力を残す芸術家はたいてい多作だし、科学者などの仕事は「体系的・重層的」であることが多い。
(略)
最高傑作という言葉に値する仕事をするためにはまず多作であることが求められるわけだが、それだけではない。「体系的・重層的」名作品群であることが必須で、要するにルーティンワークを拒絶していなければならないのだ


リラックスできて、かつ集中して仕事ができる人は、実はオンとオフの区別がない。
(略)
「充実した仕事のためには心躍るオフの時間が必要だ」というのは、無能なビジネスマンをターゲットとして、コマーシャリズムが垂れ流し続ける嘘である。


問題は、メモを取る行為そのものではなく、メモを取らなければいけないほど重要な情報に飢えているかどうかだ。


だが、要するに私たちは必要な情報を得るために本を読むのだ。
(略)
読書をするかしないかが問題ではなく、どんな情報を自分は必要としているのかを自分で把握できるかどうかが問題である。自分は今どんな情報を必要としているのか、それを正確に把握するのは簡単ではない。
(略)
読書が重要なのではない。情報に飢えるということが重要なのだ。


以前の講演会で、金よりも自分らしさを大事にしたい、という学生がいて、わたしが「じゃあ年収は最低どのくらいあればいいのか?」「その金をどうやって稼ぐのか」「結婚はしないのか」「生活保護でもいいのか」と質問したら涙ぐむだけで答えられなかった。繰り返すが、仕事はなんとしてもやり遂げ、成功させなければならないものだ。


スケジュールを管理する、という概念を一度放棄するといいのではないかと思う。やるべきことに優先順位をつける、という方法を勧めたい。仕事とプライベートにおけるその人の優先順位が、その人の人生なのだ。


わからないと言うことをわからないと率直に言う人は少ない。特に識者と呼ばれる人は、とにかくアドバイスしたがる。

そして発送力を鍛え、維持するためには、ほかの誰よりも「長い時間集中して考え抜く」という、ミもフタもないやり方しかない



一つ一つの言葉が新鮮で響いた

村上龍は思っていたよりもリアリストで、物事の本質をつかむ才能があるとぼくは思う


もちろんこれらの言葉すべてに賛同したわけではないが、自分がいかに物事を考えていなかったかがわかった
検証というプロセスを経てまた時間が経ったあとに読んでみたい

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