2010年4月6日

「新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得」

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「新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得」 成毛眞

評価:4.3






本書は著者がビジネスに関して思いついたようなことをちょこちょこ書いたつぶやき集のような本だ


最初はビジネスの話に始まり、日本企業とアメリカ企業の違いの話、そして最後は教育論にまで発展している


要はこれから社会に出ていく、もしくは出て間もないぼくらのような世代へのビジネスの手ほどきのようなものだ

特に興味深かったのは、外資系であるマイクロソフトの社長にしてアメリカ主義に待ったをかけていること

「能力主義の国だから、アメリカが勝っているんだ。じゃあ、うちも」なんて思ったら大間違いだ。その国の事情を無視して、能力主義・実績主義を押し進めれば、いたずらに雇用と富の配分のミスマッチを招くだけではないだろうか。
能力主義・実績主義の導入は企業だけの問題ではない。雇用と社会的な富の配分を誰がどうコントロールするのか。企業と国家、それぞれの役割が問われる問題なのだ。


と説いている。
著者によればマイクロソフトはかなり日本的な企業だったらしい

そしてグローバリズムとはアメリカのやり方を世界に強要することであり、それが続けばアメリカは孤立すると指摘している

アメリカは今、世界経済で唯一ともいえる歴史的な好景気を謳歌している。
(略)
バブルと言えばバブルだ。そして、このバブルがどのような要因ではじけるのかは誰にも見当がつかない。

この本が書かれたのが2003年であるから5年後に予想は見事に的中しバブルははじけた

好景気を続けるアメリカが自らの異質性を意識し軌道修正をはかっていくか、ある時点でアメリカの景気が失速し、その反省の中で新たな社会・経済システムに目を向けられるか、あるいは別の国が、アメリカとは異なったっシステムでそれに対抗できるような経済的成果を達成し、アメリカの意識改革を促すか。


結局アメリカのシステムが問い直されているのが今である

したがって著者の意見は幾分正しいように思える



この他にもトップダウン的な教育などを勧めていてぜひ読んでもらいたい本の一つだが、特に印象に残ったのはベンチャー投資をする際に出資するかどうかの見極めについて書かれていた

ポイントは二つあって、その人物が外向的かどうか、楽観的かどうか、である。外向的かどうかは少し話せばわかる。楽観的かどうか見極めるには次のような質問をする。
「日本の経済はこれからどうなると思いますか?」
「いやあ、しばらくは暗いでしょうね」
と答えたら50%はだめ。
「では3年後どうなると思いますか」
「3年後はバッチリだと思います」と答えたら何とか合格。
「3年後もだめかもしれません」と言う答えが返ってきたらもう絶対だめだ。どんなにアイディアがよくても投資はしない。

金を出すかの基準にこんなものが判断材料なのかと驚かされるが、こうしたことに案外集約されているのか


最後に変化が激しく既存の価値観が大きく変わっている現代は見方を変えれば大きなチャンスなのかもしれない


そうした現状をとらえる第一歩として本書は読むべき本だと思う

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