評価:3.0
1950年代まで解読されていなかった線文字B
その解読に成功した天才マイケル・ヴェントリスの人生を描いた本
これを読んで、解読っていうのは99パーセントの論理と1パーセントのヒラメキであるというのがよくわかる
昔名探偵コナンに載っていた暗号を答えを見ないで解読を試みたものの全く歯が立たなかった経験からどれほど難しいかというのはよくわかる
ましてやそれが表意文字なのか表音文字なのかというところから始まるわけだから解読というのは果てしない道のりだ
ヒエログリフにしてもあれをまずアルファベットのような表音文字だと判断したところがすごいが線文字Bも同じように一見なにかの形を表しているように見えて表音文字らしい
そしてさらには音節の解明、文法規則の発見と一つ一つきちんと積み重ねていくことでたどり着く
おそろしい学問分野だと思う
もともと線文字Bというのはエヴァンズにより発見されエヴァンズがその粘土板を公開せず解読を試みていたものだ
しかし結局解読できずその死後、皮肉にも考古学が専門でない(建築学が専門)のヴェントリスにより解読されたという歴史がある
しかもその結果がエヴァンズの予想とは裏腹にギリシア文字の一種であることが示されてしまった
ところでこのヴェントリスという男、相当頭がよかったらしく特に語学に長けていたらしく成人後はヨーロッパの言葉なら数週間から数ヶ月で習得できてしまったらしい
そんな才能がほしいものだ
しかしこの本を読んでいて今まで当たり前に思っていたような言語の不思議をもっと知りたいと思うようになった
なぜ文法がすべての言語にあるのか、なぜそれぞれの言語で文法が違うのか
言語というのはどこから始まったのか
そもそもそれぞれの翻訳をどのようにして初め意味を設定したのか
などなど
考えてみたら不思議である
今後機会があれば読んでみたい
ただ解読の本としてはやはり少し物足りなかった
もしこれを読むのであればサイモン・シンの「暗号解読」を読んでから読んだ方がよりいっそう楽しめると思う
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