評価:3.8
最初はそのタイトルから何かファンタジーの要素が強い児童小説なのかと思ったが、15才の少年たちの日常的な出来事を綴った小説だった
最初のうちはよくある類の小説かと感じて、なんでこんなものが名作になるのかと正直思ったが、読んでるうちになかなか心打つ物語だった
登場人物がいい
特にいい大人がでてくる
少年たちの学校の先生である正義さんとそのかつての親友で少年たちを影で支えてくれる禁煙さん
こうしたいい大人たち、当然子供たちから尊敬されている、を垣間見ると、自分が今からなろうとしている大人はこうした人なのかな、心狭い大人になりつつあるんでは、と考えさせられる
特に禁煙さん(これは子供たちのあだ名、もちろん正義さんも)は昔医者であったが、身内の不幸からやめてしまい今では名もなき居酒屋でピアノを弾いている
「「野心をなくすな」なんて決まり文句は聞かせないでもらいたい。ぼくみたいに生きてる人間が少なすぎるだけなんだから。といって、もちろん、誰もが怪しげな居酒屋でピアノを弾くべきだ、なんていってるわけじゃないぞ。ただね、大切なことに思いをはせる時間を持った人間が、もっとふえればいいと思うだけだ。金や、地位や、名誉なんて、子供っぽいものじゃないか。おもちゃにすぎない。そんなもの、本物の大人なら相手にしない。どうだ、違うかな?」
禁煙さんはちょっと間をおいた。
この本は日常の出来事を日常的に書いていると解説にあったが、まさにその通りの作品だ
しかしだからといって退屈かというとそうではない
逆に日常的な情景を改めてみるといろいろな喜びだったり、悲しみだったり、勇気だったり、友情だったり、幸せというものを気づかせてくれる
あぁこんなことだったのかな、と
そこがこの作品のよさであり、あとあじのよさなのかなと思った
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