2010年8月28日

「空想科学漫画読本」

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
「空想科学漫画読本」 柳田理科雄

評価:3.8





中学の頃一回読んだことあったが、勉強の合間なんとなく読んだらおもしろかったので書いてみる


こういう知ってても今後の人生に一切役に立たないくだらないことを真剣に考える人は大好きだ

こういうものが人生に深みを持たせるものだと信じている


さて空想科学読本でお馴染みの著者が漫画のワンシーンに科学のメスを入れるものだが、今回も素材の選び方が際だっておもしろい

ちなみに、もし空想科学読本シリーズを読んだことない人は絶対に読んだほうがいいほどおすすめです


ふだん僕たちは何気なく漫画は漫画の論理で読んでいるが、ここで取り上げているようによくよく考えてみるととてつもないことを描かれているのだということが改めてよくわかる

その中でも今回は「キャプテン翼」の若林君の三角蹴りの章が一番おもしろかった

実は若林君の身体能力の高さを証明する章なのだが、著者はあるところに気がついた

それは実況のアナウンサー

詳しくは本を読んでもらいたいがここではあまりにおもしろかったので長いが引用したい
だが、超人的なのは若林君だけではない。コマをよく観察すると、もう一人の超人の姿が浮かび上がってくる。
それは、実況しているアナウンサー。シュートしたボールがゴールに突き刺さるまでの短い時間に、78文字も喋っているぞ!
この解説というのは
「あっと、これは若島津くんが得意とする三角げりディフェンス なんとそれを若林くんが・・・ キーパー若林くん左へ飛ぶと見せかけこれは ゴールポストの本道を利用して右へ とんだぁ」
という解説

これを相手フォワードシュナイダーがペナルティーエリア内から蹴ってまだゴールに届く前にこれだけのことを言ってのけたという点について言及している

たしかに言われてみればそうだが、よく気づいたものだ笑


続きを読むと
ヒントになるのは、人物やボールの動きを表す流線だ。
(略)
ボールの流線と、クロスバーを延長してみると、現在ボールはゴールまでの中間地点を飛行中であることがわかる。すると、コマの中では、0.35秒の半分に当たる0.175秒が経過しているわけだ。
この間に78文字なら、1秒で441文字。ドストエフスキー作「罪と罰」の慎重文庫版は40字×17行でおよそ1500ページだが、この大作をなんと38分32秒で朗読できるのだ。
(略)
プロのアナウンサーは、400字詰め原稿用紙を3分で読むように指導されるという。このアナウンサーが喋るスピードは、その200倍。こうなると、普通の人間には、もはや聞き取れまい。じゃあ。この実況は誰のために・・・!?
最初にも言ったがこんなことを考えてもなにも実生活で得るものはないだろう

しかし、こうした無駄なものが人生を豊かにすると考えるとこれほど有意義な本はないのではないかと思わせる本だ

ただし、使っている元ネタとなる漫画がコア(というか古い?)ためあまり漫画を読まれていない読者にとってはおもしろみが減ってしまうのが難点だが一読の価値はあり

もし読まれていない方がいればまずはこちらから読んでみては?



0 件のコメント:

コメントを投稿